活動日誌−久松みちお

【16.05.05】求められる「依然として深刻にして重大な問題」の克服... 部落問題研究所『人権と部落問題』「動向」 原稿

求められる「依然として深刻にして重大な問題」の克服... 部落問題研究所『人権と部落問題』「動向」 原稿

  4月25日、人権連松阪地協(久松倫生委員長代行)は、市広報の4月号広報の「同和問題」の記述(全文は後掲資料参照)をめぐって松阪市の行政担当者と話し合いをもちました。
 広報の記述には多くの問題点がありますが、話し合いで指摘したいくつかを示したいと思います。
一つは松阪市の歴史、同和行政の歩みや到達とかみ合っていないという問題です。根底には、50年以上前に出された「同和対策審議会答申」などの「同和問題は依然として深刻にして重大な問題」をそのまま引き継いでいることがあります。そのため同和対策の終結、一定の成果を述べつつ、旧松阪市から33年間、487億円以上かけてきた同和対策事業の意義も確信になっていません。これではやってもやっても解決しないかのような矛盾に満ちたものになってしまっています。この点をしっかりどう受け止めるか課題が提供されたように思いました。
現在の人権担当の職員さんは、この同対審答申以後に生まれたという人も少なくありません。
実際、松阪の同和対策の経緯やこの間一掃してきた「不公正」の内容、30年余にわたる住民のたたかい、住宅新築資金の高い返済状況、部落解放基本法に反対した議会の議決など、松阪の同和行政の優れた面も知らないという方も少なくありません。話し合いのなかでは、多くの経過と事実を説明することにもなりました。
二つ目に、「忌避意識」としていることの現実です。平成24年の意識調査にかかわって、ある20代の方の話を紹介しました。「部落問題は学校で習った。差別は間違いだと思う。でも現実の体験は全くない」。それで「関係ない問題だと思う」という選択肢を選んだというのです。これが忌避意識でけしからんというのか、実際体験がなく関係ない問題となっているのか、評価の仕方で全然違ってきます。
三つ目に、同和対策事業への疑問についてです。長年事業がつづいたことから、今でも事業があるかのように受け取る人もありますが、これを住民のせいにして、「深刻、重大な問題」の根拠にするなどとんでもない話です。
 そして、最近の問題としてあげられている「戸籍等の不正取得」「インターネットによる差別書き込みなどの発生」です。事実があるのかどうかここを問いただしました。担当課長からは、戸籍の不正取得は松阪市ではないこと、インターネットの書き込みの実害の例はないことがはっきり述べられました。そこで思うのは、この種の文章について、実際ないことでもどこかの話や誰かが言っていることを使って書くという「人権同和」文書の特徴をよく示しているということです。
 これらをふまえて「同対審答申、同特法的社会観、歴史観から抜け出せない、古くからの『深刻な問題』の呪縛にとらわれている現実が執行機関、行政内にあるのではないか。そういう決まり文句を使わなくてはならないという思い込みが沁みついているのではないか」と指摘しました。
 半世紀の取り組みをふまえて、同対審答申の歴史観、社会観の克服が求められると実感しました。

【同和問題】 同和問題は、日本社会の歴史的経緯の過程で形づくられた身分的差別により、日本国民の一部の人びとが、日常生活の上で差別を受けるなどしている、我が国特有の人権問題です。
 松阪市では、同和問題の解決に向けて、33年間にわたって「同和対策事業特別措置法」等の特別事業を実施し、平成14年3月に特別事業は終了しました。
 これまでの取り組みにより、生活環境の改善などの物的な基盤整備については一定の成果は見られるものの、平成24年度に実施した「人権問題についての市民意識調査」によると、同和問題へのかかわりを避ける意識(地縁忌避意識など)や結婚時などで身元調査を肯定したり、特別事業が終了した今日においても、特別事業が継続しているかのような受け止め方をする市民が多く見られたりするなど、人権教育や啓発などの取り組みを進めているものの、同和問題は依然として深刻にして重大な問題です。
 最近では、戸籍等の不正取得やインターネットによる差別書き込みなどが発生しており、同和問題の解決に向けて、人権意識の高揚と人権教育・啓発活動を積極的に進めていくことが重要です。
《資料》広報「まつさか」4月号から

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